瞬間英作文は、賛否両論のある学習方法です。
2006年に発売された
「どんどん話すための瞬間英作文トレーニング」
が非常に有名で、大きめの書店に行けば、
必ず売っています。
ある方は
「やっても意味はない」
「こんな表現はネイティブはしない」
と言って否定し、
一方で
「めちゃくちゃ効果があります」
「これで話せるようになりました」
と言って推奨する方もいらっしゃいます。
なぜ、このようなことが起きるかというと
前提条件が違うからです。
つまり
「どのレベルの方が
何のためにやるのトレーニングなのか?」
という前提条件が違うと、
「意味があるのか?ないのか?」
に対する回答が変わってくるということです。
「どのレベルの方が何のためにやるのか?」
を確認せずして
とりあえず取り組んでしまうと
間違いなく効果が薄くなります。
この瞬間英作文トレーニング自体は
非常に地味なものですから
効果が実感できず
挫折してしまうことになります。
ですが、
瞬間英作文トレーニングは
スピーキング力の土台作りといっても良いもので
やる価値は十分にあります。
なので、
「瞬間英作文は自分に必要なのか?」
やるとしたら
「何をどう気をつけたらいいのか?」
そうお悩みでしたら
是非読んでみてください(^^
【動画による解説です】
瞬間英作文トレーニングの目的・対象者
まず始めに、
瞬間英作文のやり方の説明の前に
その目的・対象者を説明します。
瞬間英作文トレーニングの目的
瞬間英作文トレーニングの目的は、
中学レベルの文法・単語を
「理解している状態」
から
「自由に使いこなせる状態」
に変えるためです。
中学レベルは大丈夫です!
参考書は何度も何度も読みこんで
理解も完璧です!
という方がいらっしゃるんですけど
それは
例えば、穴埋め問題だったり
選択問題は解けます、
という意味なんですね。
でも、
それは「理解している」に留まっていて
「自由に使いこなせる」とは
また違う話になります。
例えば自動車の免許で言えば
学科教習は終わったけど
技能教習は全くしていないような状態。
スポーツで例えると
野球でもテニスでもいいんですけど
「ルールは知ってます」
「やり方も分かります」
「でも自分でやったことはありません」
というような状態に当たります。
英会話なんか、言葉の「キャッチボール」ですから、
本当、スポーツと言っても過言ではありません。
瞬間英作文トレーニングの対象者
そして、瞬間英作文トレーニングの
対象者としては
ゼロから英語学習をやり直す方が
中学レベルの座学が終了した段階です。
ただ、この瞬間英作文トレーニングは
中学レベルとはいえ意外に難しいです。
私はTOEICスコア800超えた状態で
始めたのですが、
最初は非常に苦戦しました。
口が思うように回らないのです。
では具体的に
瞬間英作文がどういうものなのか
試しにサンプルでいくつか見てみましょう
いかがでしょうか?
1番から5番までありますが
これらを
見た瞬間に数秒レベルで
英語が口からパッと出るかどうか?
実は、1番から5番まで
全て中学校2年生のレベルになります。
(解答例は本記事の一番下に載せておきます)
これらについては
言い回しは色々あると思うのですが、
もしパッとスラスラ言えるようであれば
瞬間英作文は不要になります。
もし、そうでなければ
是非取り組んで頂きたいのですが、
この瞬間英作文というのは
自分が知っている中学レベルの単語を
英語の文法のルールに従って
いかにスピーディーに並べて文章を作れるか
というトレーニングになります。
高速で、単語を使ったパズルをやるようなイメージ、
英会話はパズルと言っても良いかもしれないですね。
瞬間英作文は高速でやるのがポイントなので、
このトレーニングに難解な、難しい単語が
入り込んでいると、
単語の方に意識がいってしまうので
肝心の文法、すなわち
単語の並べ方に意識が行きづらくなります。
なので、
この段階では、使う単語のレベルは、
中学レベルにとどめておきます。
中学レベルとはいえ、
このトレーニングを繰り返して
英語の文法のルールに従って
高速で単語を並べるスキルを身につけておくと
単語のレベルが上がっても
対応できるようになっていく
ということになります。
以上が、瞬間英作文トレーニングの目的・対象者の
説明となります。
瞬間英作文トレーニングの効果を最大限に引き上げるポイント
以上の説明を前提として
瞬間英作文の効果を最大限に
引き上げるためのポイントを説明します。
「どんどん話すための瞬間英作文トレーニング」を
ベースに説明しますが、
この本は見開き2ページで
・左側に日本語
・右側に英語
10個ずつ並んでいます。
左側の日本語を見て
数秒で英語で(口頭で)回答します。
ポイントは5つあります。
答えが分からなければすぐ答えを見る
1つ目ですが、
答えがすぐに出てこなければ
どんどん答えを見てしまう。
このトレーニングは
「スポーツとある意味同じ」ですので
野球の素振り、テニスの壁打ちのように
「はい次!」「はい次!」みたいな感じで
どんどんこなすように
回していくようにします。
受験やテストのように
じっくり考えるのではなく、
瞬発力を鍛えるのです。
文法事項(構文)を意識する
2番目、文法事項(構文)を意識する。
「どんどん話すための瞬間英作文トレーニング」では、
文法事項単位で練習していくことになります。
口から英語を発する際は、
文法事項を意識しながら実践します。
答えを暗記するというよりは、
「構文」を頭の中にインプットさせていく
ということを意識していきます。
例えば、
「とても~なので…」
(“so~that…”)
というパートがあります。
いわゆる「so that 構文」と呼ばれるものですが、
この構文を使う問題が
10個並んでいるわけです。
英文を口から発する際に
“so~that…”
“so~that…”
“so~that…”
・・・
のように意識します。
これを10個連続で意識してやっていきます。
これを何度も繰り返して
“so~that…”という
構文、「型」とおっしゃる方もいますが
頭の中に刷り込んでいく。
脳にインストールするということが
大事になってきます。
要は「とても~なので…」という内容を
英語で話そうと思ったら
無意識レベルで、
“so~that…”がパッと出てくるまで
やり込むということです。
英文の組み立て方を「知っている」から
「自分で組み立てられる」ようにしていく。
無意識レベルで、正しい語順で
英単語を並べられるようになる。
このことを「英語の思考回路」と呼ぶ方もいます。
他にも例を上げますと
「人が~するのは、(形容詞)です」
“It is 形容詞 for 人 to 動詞”
これも10個並んでるわけですね。
“It is 形容詞 for 人 to 動詞”
“It is 形容詞 for 人 to 動詞”
“It is 形容詞 for 人 to 動詞”
・・・
と10個連続で意識しながら練習し、
その構文(型)を頭の中で
自由に使えるようにしていくのが
ポイントになってきます。
この構文(型)が
10個の問題で79セット、
「どんどん話すための瞬間英作文トレーニング」
にはあります。
79パターンの構文(型)が、
頭の中にきっちりインストールされて
設置されれば、
何かを言おうとした時に
単語を英語の文法のルールに則った順序で
並び替えることが非常に楽になっています。
後は、その型、構文にはめ込む単語、
入れ替えるものを増やしていくだけで
言えることがどんどん増えていく
という理屈になります。
暗記に走らない
3番目のポイントは
先ほどもちょっと申し上げたのですが
暗記に走らない。
和文英訳というよりは、
先ほど申し上げた構文(型)、
すなわち、
・文法事項を脳に刷り込むこと
・英語の思考回路を設置すること
が目的なので、
答えが合っているか合っていないかではなく
文法の構文をしっかりと
無意識レベルで口からパッと出せるようになる。
このことを意識して
暗記に走らないよう実践してください。
話す内容を頭の中でイメージしながら
4番目のポイントです。
日本語を見ながら英語を話す練習なのですが、
話す内容を頭の中でイメージしながら実践する
というところもポイントになります。
話す内容、状況を頭の中で思い描く、映像化する。
あるスクールでは
ビジュアライゼーションと呼んでいますが、
日本語というのは
話す内容を思い浮かべるための
トリガー、きっかけにすぎないということです。
例えば、電車の中で女の子がカバンを落とした。
英語では
The girl dropped her bag.
と表現しますが
目撃したのは
女の子がカバンを落としたという「状況」であり
そこには
「その女の子がカバンを落とした」
という日本語は介在しません。
状況、場面が
The girl dropped her bag.
を生み出したということになります。
実際の日本語での会話においても、
頭の中でいちいち
日本語を再現することは少ないと思います。
日本語を見ながら英語を発する練習にはなりますが、
できれば可能な限り
話す内容を頭の中にイメージして
その時に、どういう構文を使って言うか?
そういう意識をしながら、
トレーニングを積んでいきます。
10周(10サイクル)はこなす
5番目のポイントです。
こなす回数は多ければ多いほど良いのですが
最低でも10周はすべき
という趣旨のことが
「どんどん話すための瞬間英作文トレーニング」
には書いてあります。
790問を10周と言うと
大変なイメージがあるんですが、
慣れていくと、
どんどん1週(1サイクル)の時間が短くなるので
だんだん楽になっていきます。
ですので、
10周とは言わず、15周とか
やれる方はどんどん回数をこなして
スムーズにパッと言えるレベルまで
仕上げていくべきです。
瞬間英作文は長い歴史を持つ学習方法
この瞬間英作文という学習法は
1984年に
市橋敬三先生が
「話すための英文法」という書籍で
提唱されました。
当時は瞬間英作文という
言葉はなかったんですが
それから40年近くが経ち
でも、長い歴史に淘汰されずに
今も多くの方に実践されているトレーニングです。
ぜひ、瞬間英作文でスピーキング力の
土台を作ってみてください。
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(問題の解答例)
1 I have never learned German before.
2 I will buy a magazine in front of the station tomorrow.
3 He has worked at the store for ten years.
4 How many books were you able to read last week?
5 She got up as early as her mother this morning.
(参考文献)