
あるクライアント様のシャドーイング練習での出来事
今日は「シャドーイングもよりも取り組みやすいリスニング学習法」について紹介いたします。
あるクライアント様が、リスニング力を上げるために、オーランド・ブルームという俳優さんのインタビューを素材として使うことを希望されたんですね。
(Youtubeより)
そこで、リスニング力アップのための学習方法をいくつか説明させていただいたところ、シャドーイングをすることになりました。
ただ、インタビューを見てみると、ナチュラルスピードでかなり難しく思えたので、冒頭の30秒だけ抽出し、取り組むことになりました。
「シャドーイングのやり方は知っています、大丈夫です。」とのことでしたので、1週間取り組んでいただき、セッション(ZOOM)で実際にやってもらいました。
セッションでは、私の方で音声を流し、原稿を見ない状態でシャドーイングしていただいたのですが、音声とは全く関係なく自分のペースで英語を話し始めました。
30秒のインタビュー音声が終わった後も、暗記したであろう英語をきれいな発音で発し続けてくださいました。
しかし残念ながら、シャドーイングというよりは、暗唱したものを読み上げるという形だったんですね。
さらに、インタビューでオーランド・ブルームがどういう話をしていたのか1文ずつ説明をお願いすると「英語を再現することに集中していて、あまり意味は分かっていません。」とのこと。
シャドーイングは何のためにやるのか?
ここで、シャドーイングについて、次のような説明をさせていただきました。
① シャドーイングはリスニング力アップを目的としており、きれいな発音にこだわる必要はないこと。
② リスニングのプロセスは
(1)聞こえた音がどんな単語、英文なのか理解する(音声知覚)
(2)聞き取れた単語、英文がどんな意味なのか映像、イメージが思い浮かぶ(意味理解)
に分かれ、音声知覚、意味理解のスキルをそれぞれ鍛える必要があること。
③ 意味の分からない英文をシャドーイングしても効果は薄いこと
①において「リスニング力」と申しましたが、正確には、第二言語習得論でいうところの「音声知覚」「意味理解」の二つのスキルです。
上記の絵の「音声知覚」「意味理解」の詳細については、こちらの記事(英語を聞く「2つのプロセス」を知ればリスニング力を最短で上達させる学習法が分かる!)で説明しているので割愛しますが、きれいな発音にこだわりすぎて、音声に追いついていけなければ、本末転倒であることをここでは申し上げておきます。
シャドーイングでは、「聞こえた英語音声とスペルを結び付けること」、それから、「頭の中で再現したスペル(英文)を意味として理解すること(映像、イメージと結び付けること)」をトレーニングしながら意識しなければなりません。
これらを意識せず、③で指摘したように、やみくもに英語音声を再現しつづける努力をしても、「本番の会話」で役に立つことはないでしょう(相手が高速で話す内容に追いついていけないということです)。
クライアント様には、①~③を説明し、ご理解していただいた後、学習メニューを改めて構築し直しました。
シャドーイングが難しい、口が回らない、ついていけないと感じる初学者向けのトレーニング方法
シャドーイングはもともと、同時通訳者のためのトレーニング方法です。
英語初心者、初学者がいきなりやるのは難しいですし、ましてや、海外ドラマや映画でシャドーイングし続けるのはほとんど不可能でしょう。
そこで、ステップ(段階)を踏んで練習することにします。
具体的には、
①(既に紙に書き起こしていたインタビューの)英語字幕を「精読」し、何を言っているのかすべて理解しておく
②その後、音声を聞きながら一言一句書き起こす「ディクテーション」を行う
③最後に、音声を聞きながら「マンブリング」を行う
です。
①については「意味理解」のトレーニング、そして、②については「音声知覚」のトレーニングです。
最後、シャドーイングの代わりに、「マンブリング」というトレーニングをやっていただきました。
マンブリングとは、英語の音声を聞きながら、口の中でブツブツつぶやくトレーニングです。
シャドーイングと異なり、口の動きが最小限ですむので音声についていきやすく、自分の声に邪魔されることも少なくなるメリットがあります。
小さくても自分の声で反応していくマンブリングは、学習に使う音声素材について、音声知覚、意味理解がきちんとできているか確認できるものです。
クライアント様はインタビューを聞き取れるようになったのか?
クライアント様には、①、②をやっていただいた後、マンブリングを何度もやっていただくことにしました。
そして、1週間後のセッションで、クライアント様に再度、インタビューの音声をマンブリングしていただきました。
すると、
「ちゃんと、オーランド・ブルームの話が聞き取れています!」
と感動した面持ちでおっしゃってくださいました。
インタビューのうち、30秒程度ではありますが、音声知覚、意味理解ができるようになったんですね。
時間をおいて聞き直しても、やはり「聞き取れる」とおっしゃっていました。
上記のようなトレーニングを様々な音声素材で継続していくと、徐々に聞き取れる範囲が広がっていきます。
しかも、ネイティブのスピードでトレーニングしていくので、本番の会話でも対応できるリスニング力が身についていきます。
先ほども申し上げましたが、シャドーイングというのは、もともと、同時通訳者のためのトレーニング方法なんですね。
英語音声を再現することで、「発音」、「英語のリズム」、「音の強弱」、「イントネーション」も鍛えられますが、英語初心者、初学者には実はハードルが高いのですね。
自分の英語の発音が気になって、話されている英文(スペル)、話の内容が理解できなければ、本末転倒です。
なので、シャドーイングはちょっとハードルが高いなあ、と思われた場合は、マンブリングで練習してみてください。
リスニング力が効率よくアップできますので(^^)
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