英語スピーキングテスト、受験者の6割が0点になってしまう理由と解決法とは?

本日は、「英語スピーキングテスト、受験者の6割が0点になってしまう理由と解決法とは?」というテーマでお話したいと思います。

NHKニュースに「中学「英語」 話す力や書く力に課題 全国学力テスト 結果公表」という記事がありました(2023年7月31日付)。

小学6年生と中学3年生およそ190万人が参加した「全国学力テスト」の中で実施された英語スピーキングテストの結果なのですが、非常に厳しい結果が出ています。

 

「中学「英語」 話す力や書く力に課題 全国学力テスト 結果公表」の概要

記事によりますと、動物園で留学生を案内する場面を想定し、相手の英語を聞き取った上で解答時間内に英語で答えたり質問したりする問題が4問出題。

・看板に日本語で書かれたゾウの誕生日を英語に訳す問題の正答率は19%
・園内でどこを回るかなど次の予定を伝える問題の正答率は9.4%
・カンガルーが食べるものについて英語で質問する問題の正答率は13.4%
・図鑑、クッキー、Tシャツの中から4歳の男の子へのお土産としてふさわしいものを選び、その理由を伝える問題の正答率は16.1%

そして最後
・環境問題についてのプレゼンテーションを聞き、それに対する自分の考えと理由を伝える問題。正答率は4.2%

1問も答えることができなかった「0点」の生徒は全体の63.1%
・正答が1問でしかなかった生徒(20.9%)を加えると8割
・5問すべてに正答できた生徒は0.4%

(NHKニュースより)

朝日新聞では、「6割が0点」を強調した記事が書かれていますね。

2020年に文部科学省の教育指導要領が改訂され、英語については相も変わらず「コミュニケーション能力」の重要性が強調されているわけですが、3年経った成果が上記のようなもので、日本の英語教育は残念ながらうまくいっているとは言えない状況です。

 

NHKの記事では、英語教育の専門家の意見として、

単なる教科書の音読のような指導にとどまるのではなく、生徒自身が自分の考えを英語で伝える活動になっているのかという点が課題となっている。これからは、英語のコミュニケーション能力を高めることがますます求められるようになるだろう」

というコメントを載せています。

 

英語スピーキングテスト、受験者の6割が0点になってしまう理由

 

今さら感のあるコメントですが、63%もの生徒さんが0点を取る理由は明白です。

英文を見ない状態で、自分が言いたいことを英語で話す練習をしていないから

です。

 

さらっと書いていますが、重要なポイントが3つあるので説明いたします。

1 スピーキング力をアップするには英文を見ない状態で英語を話すトレーニングが必要なこと

2 スピーキング力をアップするには自分が言いたいことを練習することが必要なこと

3 スピーキング力については、ピアノなどの楽器演奏やスポーツといったジャンルと同じであることを理解すること

 

1 スピーキング力をアップするには英文を見ない状態で英語を話すトレーニングが必要なこと

1番目についてですが、今、仮に、目の前に外国の方がいらっしゃるとして、英語を会話をする場面を想像します。

すると、当たり前なのですが、英語を見ながら英語を話すなんてことはしないはずです。

でも、学校の授業では、文法の解説、構文の解釈を説明され、英語を読んでそれを理解することに重きを置いています。

受験用の難解な英語の文章を読むにしても、読解して選択問題、穴埋め問題を解くトレーニングがメインです。

少なくとも、私が中学3年生のときの英語の授業は、生徒自身が自分の考えを英語で伝える活動なんてなかったですし、今の中学3年生も「生徒自身が自分の考えを英語で伝える」ことを授業ではあまり練習していないでしょうし、家での自習、宿題でもやっていないと思います。

また、リスニングにしても、結局は、英語の音声を聞いて、それを頭の中で英文として再現し、聞こえた内容を理解するという練習です。

要は、学校でも、家でも、英語を見ないで英語を話す練習はあまりしていないわけです。

でもこれは学生さんだけでなく、社会人でも同じです。

社会人になっても、TOEIC(LR)や英検といった難解な資格を目指す方向になっていて、実際に外国の方を目の前にした会話を想定した練習をまったくしない状況が続いているわけです。

※英検の2次試験では面接がありますが、あくまで試験対策として試験突破に必要な練習しかしない傾向があります。

 

 

2 スピーキング力をアップするには自分が言いたいことを練習することが必要なこと

2番目のポイントは、自分が言いたいことを練習していない。

これも当たり前の話ですが、学校の教科書で学ぶ内容は、「英語を読んで理解する」「英語を聞いて理解する」のがメインです。

学んだ内容を自分に当てはめて練習する項目もあるかと思いますが、授業の中では時間も限りがあって、深くはやれないでしょうし、家でも自分が言いたいことを整理して発話するようなトレーニングをしている人はほとんどいないのではないでしょうか。

そんなことよりも、受験に少しでも有利になるように、過去問の難解な英語の文章を読解して選択問題、穴埋め問題を解くといった学習がメインだと思います。

ですから、今も昔も、学生さんの英語のスピーキング力に関しては、何も変わっていないのが実態なんですね。

これは、中学生だけでなく、高校生、大学生も、よほど意識高く学習していないと、スピーキング力については同じ状況だと思います。

さらに言うと、社会人になっても、TOEIC(LR)、英検といった学習で、ステータス(スコア、資格)を目指すことが目的になっていて、普段から日々、目の前にいる外国の方を想定した英語を話す練習はしていません

ですから、英語学習を長期間やっている割には、大人になっても英語が話せないという状況が続くわけです。

 

3 スピーキング力を上げるプロセスは、ピアノなどの楽器演奏やスポーツといったジャンルと同じであることを理解すること

3番目のポイントですが、スピーキング力を上げるプロセスは、ピアノなどの楽器演奏やスポーツといったジャンルと同じであることを理解することです。

どういうことか。

日本にいながら英語が話せるようになったミラクル・ベル・マジックさんの著書「英語が話せる人はやっている 魔法のイングリッシュルーティン」からの抜粋を紹介いたします。

・英会話は「歴史」のように勉強や暗記が重要になる科目というよりは、運動することで身体を鍛える「体育」的な科目

「テストでいい点を取るための英語力」と「英語を話すための英語力」は全く違うということ

・スピード感をもって英語が話せるようになるためには、とにかく英語をしゃべる量が必要になります。

(22~24ページ参照)

要は座学ではないということです。

口の筋肉を使って、英語をしゃべる練習が必要で、しかも量が大事になってくるということです。

もちろん、しゃべる時は、英文を見ながらではありません

英文を見ずに、目の前に外国の方がいると想定して話しかけるがごとく練習するわけです。

英語のスピーキングは、ピアノの楽器演奏がしっくり来ると思うのですが、日々の練習を怠ると、同じように下手になっていきます

なので、毎日少しでもいいので、英文を見ずに、自分の言いたいことを、コツコツ練習することが必要です。

野球やテニスの練習もそうだと思いますが、日々練習をしないと、試合で勝つのは難しいわけです。

この理屈で言えば、「1日5分でOK!」なんてのも、まやかしに過ぎないことが分かります。

話す練習をしていないのに、いきなりスピーキングテストをやらせるというのは、普段からピアノの練習をしていないのに、演奏会に出演させるようなものです。

 

ちなみに、スピーキング力アップのためにシャドーイングが良いのではという質問を受けることがありますが、シャドーイングは聞こえた英語を理解するスキルを高めるトレーニングです。

「英語を聞いて」と理解するいう時点で、インプットのトレーニングです。

第二言語習得論で言うところの「受容スキル」と「発信スキル」で言えば、シャドーイングは「受容スキル」、英語を理解するスキルをアップさせるものです。

 

 

英語のスピーキング力をアップさせる方法は?

さきほど申し上げた3つのポイントを踏まえれば、なすべき方法は見えてきます。

1 英文を見ずに英語を話す

2 自分が言いたいことを練習する

3 楽器演奏やスポーツと同じく日々練習に励む

上記の3つを意識すれば、スピーキング力はアップしていきます。

もちろん、英文を見ずに自分が言いたいことを練習するアウトプット練習を行うには、インプットがある程度なされていることが前提としてあります。

いきなり、英文を見ずに英語を話すのはハードルが高いと思いますから。

そのため、最初は、簡単な日本語の短文を大量に口頭英作する「瞬間英作文」をやるのもおススメです。

自転車で言うところの「補助輪」として、日本語をトリガーにして英語を話す練習をするのです。

慣れてきたら補助輪(日本語)を外して、本格的に自分が言いたいことを練習していきます。

その練習は地味で大変なものかもしれませんが、逆に言えば、やりきることができれは、一生モノのスピーキングスキルが身につくわけです。

 

 

日本の英語学習者がなぜ長期間学んでいるのに話せるようにならないか。

学生さんで言えば、受験英語(難解な英文読解)、社会人で言えば、TOEIC(LR)の学習ばかりしている弊害だと考えています。

実際、私のクライアント様で、TOEIC800オーバーでも話せないという悩みを抱えている方がいらっしゃいます。

英語を話せるようになるためには、本来、資格なんかいらないわけです。

穴埋め問題や選択問題を素早く解けるようになっても話せるようにはならない、という単純な理屈に多くの英語学習者に早く気づいてほしいというのが、ニュースを読んだ正直な感想です。

 

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