本日は、「英語を話せるようにならない人の英語学習法(語彙(ボキャブラリー)編)」というテーマでお話したいと思います。
前回は、「文法編」ということで、英語学習をずっと続けていても話せるようにならない方の英語学習法をお伝えしましたが、実は今回お話する語彙(ボキャブラリー)についても、気づいていない方が非常に多いです。
高校受験や大学受験、またはTOEICなんかもそうですが、3,000語マスターしよう、とか、10,000語レベルでないとTOEICで860をクリアできない、とか、そういった話を聞くのですが、正直話せるかどうかという観点ではナンセンスです。
それでは、どのような語彙、単語学習法がまずいのか、そして、その理由について説明していきたいと思います。
具体的に、話せるようにならない英語学習法(語彙、単語)は次のとおりです。
1 文字だけで語彙(単語)学習が完結してしまっている
2 英単語を見たり聞いたりして意味が分かるようになる学習ばかりしている
3 既存の単語帳に次から次へ手を出そうとしている
ひとつずつ説明していきましょう。
文字だけで語彙(単語)学習が完結してしまっている
ひと昔前は、単語帳に音源がない時代がありました。
その時代から英語学習を続けている方には陥りがちな学習法です。
例えば、
Israel
aisle
clothes
rendezvous
entrepreneur
といった英単語を覚えるとします。
この場合、日本語の意味を辞書などで確認すると思います。
Israel・・・イスラエル
aisle・・・通路
clothes・・・洋服
rendezvous・・・待ち合わせ
entrepreneur・・・起業家
それぞれ、意味を確認し、覚えるとします。
ただ、ここで英単語の文字を見て、日本語のニュアンスを覚えたところで、スピーキングという観点からは不十分です。
当然の事ながら、どうやって発音するか分からなければ、相手に通じるを英語を発することができないからです。
これが、
apple
bird
table
what
school
といったものであれば、発音も分かっているでしょうから、スピーキングでは困ることはありません。
最近の英単語帳は、音源が付いているものが大多数ですので、音を無視して学習するといった誤りを犯すことは少ないとは思いますが、昔ながら「文字」をベースに英語学習をしてきた方で、陥ってしまうこともありお伝えさせていただきました。
ちなみに、先ほどの英単語の発音は次の通りです。
Israel
aisle
clothes
rendezvous
entrepreneur
英単語(語彙、ボキャブラリー)を覚えるときは、文字だけでなく、音もセットで覚えるようにしましょう。
英単語を見たり聞いたりして意味が分かるようになる学習ばかりしている
1番目の「文字だけで語彙(単語)学習が完結してしまっている」をクリアしても、この2番目に陥っている方が非常に多いです。
市販の英単語帳が最たるものですが、「英語の文字、音声から日本語の意味を理解する」という学習に留まっているということですね。
実は「読む」と「話す」で必要な語彙力は違うということです。
文部科学省が作成している「教育指導要領」にもそのことは明示的に書かれています。
どういうことか言いますと、語彙には
・受容語彙
・発信語彙
の二種類があり、それぞれトレーニングしていきましょう、ということです。
受容語彙はパッシブ語彙、発信語彙はアクティブ語彙とも呼ばれます。
パッシブ語彙は、読んだり聞いたりして理解できるボキャブラリー。
アクティブ語彙は、英語を見ないで話したり書いたりできるボキャブラリー。
このことを理解せずして、正しい英単語学習にはならないわけです。
現在の学習指導要領では、小学校600語~700語、中学校1600語~1800語、高校1800語~2500語で、合計すると4000語~5000語も覚えるとなっていますが、これらは、「受容語彙」(パッシブ語彙)の話です。
受験では読み書きがメインでしょうから、「受容語彙」(パッシブ語彙)を増やしておけば、事足りるわけです。
TOEIC(LR)なんかもそうです。
TOEICでAランクである860をクリアするには、8,000語レベルと言われていますが、これもパッシブ語彙力です。
ですので、TOEIC800オーバーでも英語が全く話せないという方が実際にいます。
現に私のクライアント様にもスコア850で話せないと悩まれている方がいます。
それは話すためのトレーニングをしていないから、と言えるわけですが、その土台となる単語力も、受容語彙(パッシブ語彙)にとどまっているからです。
こちらの「英単語を1,500語覚えても全然英語が話せるようにならなかった理由とは?」の記事にも、その点について書いております。
試しに、アクティブ語彙とはどのようなものなのか見ていきましょう。
次の絵を見て英語(英単語)で言えるか確認してみてください。
これらをスムーズに英語で言えることができましたでしょうか。
これらの英単語は、主に小学校5、6年レベルです(開隆堂のSunshineより)。
ですので、言えなかった、もしくは、言えたとしてもかなり時間がかかってしまったという場合、アクティブ語彙力については、残念ながら、小学校レベルにとどまっていると言えるわけです。
残念なことに、英語を教えている先生でも、この「パッシブ語彙」「アクティブ語彙」を明確に立て分けて説明していない方がいます。
それでいて、例えば「10,000語レベルを目指しましょう」と鼓舞してくださるのですが、いくら語彙を増やしても、結局のところ、話せるようにならないわけです。
英語を見ない状態で英語を話す練習をしていないからです。
英語を見て日本語の意味を瞬時に言えるのは、試験対策には有効かもしれませんが、スピーキング力アップという観点では不十分なのです。
既存の単語帳に次から次へ手を出そうとしている
単語帳を何冊も積み上げてそれを制覇することに情熱を燃やしている方がいます。
ただ、それもスピーキング力アップからという観点からは効率的ではありません。
既存の単語帳は、「英語→日本語」という流れで学習していくものが多いからです。
ですので、そういった単語帳を何冊やろうが、パッシブ語彙力しかアップできないのできず、いずれ、英語を話せるようにならないことに絶望し、フェードアウトしていくこととなります。
しかしながら、英語を話すという観点からは、TOEICのような難解な英文を読む際に求められる語彙の難易度、量に比べれば、もっと低い語彙レベルであっても会話やスピーチはできるようになります。
パッシブ語彙で目指すような10,000語とか20,000語とかいらないわけです。
しかも、スピーキングに必要なアクティブ語彙については、自分が必要とするジャンル(例:ビジネスであれば仕事に必要なものに絞る)だけに特化し学習することで短期間に目標を達成できるようになります。
自分が話すべきジャンル、シチュエーションに特化し、暗記アプリ(Anki)にストックして毎日反復練習していくことで、効率よくスピーキング力がアップするのを実感できるはずです。
暗記アプリでは、表面に理想であれば「イラスト」、裏面に「英語」を登録することで、アクティブ語彙のスキルアップを図ることができます。
実際には「イラスト」の準備が難しいので、日本語で代用することでもよいでしょう。
いずれにせよ、肝となるのは、英単語を見ない状態で、英単語を話す、書くという反復練習で、そうでない場合は、パッシブ語彙が鍛えられている状態に留まってしまうことに注意しましょう。
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