本日は、「英語を話せるようにならない人の英語学習法(文法編)」というテーマでお話したいと思います。
英語コーチングのセッションをさせていただいていて、肌感覚として分かってきたのですが、一番多い悩みは「学習を続けているのに英語が話せるようにならない」です。
やみくもに音読したり、シャドーイングしたり、人によっては写経している方もいるのですが、英語を話すという観点からは効果的ではありません。
多くの方の話を伺っていく中で、ある程度、その学習に傾向があることに気づきました。
その傾向については、いくつかパターンがありまして、
・英文法編
・語彙編
・英会話レッスン編
・トレーニング方法編
と分けた上で説明をさせていただきたいと思います。
今回は、英文法編として説明をさせていただきます。
英語を話せるようにならない英文法学習の3つの傾向
英語を自由に話せるようになるためには、英語の文法の知識は必須です。
日本語でもそうですが、単語を適当に並べても相手に伝わる文章とはならず、コミュニケーションが成り立たせるのが難しいです。
文法をおそろかにしていると、やはり、リスニング、スピーキング、リーディング、ライティングのスキルアップが、どこかのタイミングで頭打ちになってきます。
ただ、英文法の学習と一言で言っても、実はその進め方が、スピーキング力、話す力に寄与しない状態のまま時間を費やしている方もいます。
具体的に次の3つに該当する方は気をつけるべきです。
1 何百ページもの分厚い文法書を何度も丁寧に読破しようとしている
2 穴埋め問題、選択問題のような文法問題の演習ばかりしている
3 文法事項の細かいことを気にしすぎている
ひとつずつ説明をしていきます。
1 何百ページもの分厚い文法書を丁寧に読破しようとしている
あるクライアント様で、700ページもある文法書に取り組んでいる方がいました。
内容を確認させてもらったのですが、実に字が細かく、1個1個の文法の解説が丁寧で、大学受験の長文問題における文法にも対応可のようなテキストでした。
「これだけの内容を1冊仕上げれば、英語を話せるようになるはずで、最後まで読み終わったあと、1回では理解ができていない箇所があり、何周(何サイクル)か学習しました」
いう感じでおっしゃっておりました。
その英文法書は、中学レベルを超えたかなり高度な文法事項も含まれていましたので、そこで、試しに次のようなことを、言い方はお任せするので、英語でおっしゃってみてください、とお願いしました。
ーーーーー
私は朝食を食べた後、いつも新聞を読みます。
これらの炊飯器は、高い。
私は、彼に、あなたへ折り返し電話させますよ。
私は彼より、2歳年上です。
明日は今日よりずっと暑くなるでしょう。
彼女は私が思ったより早く、駅に着きました。
私は、海外旅行をするために、お金を貯めています。
そこへ行くのに、一番わかりやすい行き方は、何ですか?
ワインはブドウで作られます。
私は、減量するために、毎日運動します。
ーーーーー
それで、結果はどうだったかと言いますと、ほとんど答えが出てこないのですね。
ようやく出てきても、じっくり考えた上で、なんとなくこうかなぁ、なんて言いながらですね。
上記の文章は、文法レベルで申し上げると、中学校1年生とか2年生レベルのものです。
日本人のネイティブが話す日本語のレベルで言えば、小学校低学年と言ってもよいレベルのものでしょうか。
このレベルの英語がスラスラ出てこないのに、分厚い文法書を読破するだけで英語が話せる、というのは誤解なんですね。
英語で抽象的な議論をしたいからと言って、高度な英文法書を読み込むんでも、簡単なことすらパッと話せないのであれば、取り組むべき学習を見直しすべきなのです。
論文を読解するために必要な難解な英文法を座学で学んで理解できたところで、簡単なことすらスラスラ英語で出てこないという事実に目を向ける必要があります。
2 穴埋め問題、選択問題のような文法問題の演習ばかりしている
これも1番目の話と似ているのですが、文法力を高める目的で、問題演習ばかりを繰り返すという誤りです。
日本だと英語力を図るとなると、筆記試験が多いものですから、試験で高得点を取るための文法学習となってしまう傾向があります。
特に、TOEICのパート5なんか分かりやすいですよね。
文法を正しく理解していないと、穴埋め問題に正解することができません。
そのため、文法書のみならず、文法問題(穴埋め問題)を解くためだけの書籍すら販売されているような状況です。
試験でどうしても必要というのでは必要な書籍だと思うのですが、英語を話せるようになりたいという観点からはナンセンスです。
「科学的トレーニングで英語力は伸ばせる!」の著者である田浦秀幸先生は、その著作の中で、
ーーーーー
文法は問題集で学んで、試験で8割、9割とれたらオッケーだと先生も生徒も思ってしまいがちです。ですが文法というのは、本来はそういった「文法問題」で得点するためのものではありません。
(中略)
話す・書くといった産出の場で使えてこそ、文法を学ぶ意味があります。教育の現場でも、もっと実際に話す・書くという活動を入れていくことが必要です。
ーーーーー
田浦先生は、「文法問題のための文法」から「英語を使うための文法」へということをおっしゃっています。
まさにそのとおりで、英文法を「知っている」から「自由に口頭で使いこなせる」にスキルを昇華させないと、英語学習は続けているけれど、いつまで経っても話せないという状況に陥るわけです。
3 文法事項の細かいことを気にしすぎている
3つめの傾向ですが、文法の細かいところにこだわりすぎていて、前に学習が進まないというパターンです。
例を挙げますが、
If I were you, ・・・
(もし、わたしがあなただったら、・・・)
という構文です。
ここで、
「wasではない理由はなんでしょうか?」
という質問がありました。
「仮定法過去で、この場合、wasではなく、wereを使うことになってるんですよ。」
と説明しましたが、
「いや、なぜ、wasじゃダメなんでしょうか?」
と再質問が来ました。
そうなってくると、言語学の領域になってくると思います。
仮定法ではそうなっているという説明を深堀していくと、英語の歴史のような、いろいろ面白い話になってくるような気もしますが、英語を話せるようになりたいという観点からは遠回りです。
ルールはルールとして覚えて、使いこなせるようになってからでも良い疑問のような気もします。
ほかにも、似たような質問で、
・go fishingが、go to fishだとなぜ誤りなのか分からない
・next to(~のとなりの)の、toはなぜつける必要なのか?なくても良いのでは?
とか、極端なものだと、
・一人称の”I”のあとは、なぜ、”are”ではなく、”am”になったんでしょうか?
とか聞いてきた方もいらっしゃいます。
そうなると、もうこちらも説明のしようがありません。
英語が話せなくて悩んでいるのに、英文法のルールの細かいところが気になりすぎて、スピーキングの練習が進まないのです。
残念ながら、こういったケースに陥っている場合、スピーキング力はアップしにくいと思います。
「知っているだけの文法力」から「使いこなせる文法力」への転換
実際に外国の方を目の前にして、
・あれっ、Do使うんだっけ、Does使うんだっけ?
・否定形のときnotはどこに置くんだっけ?
・過去形の疑問文のとき、文頭はどうすんだっけ?
など考えているヒマはありません。
瞬発力をもって英語が口から出ないと、コミュニケーションが成り立ちません。
文法事項も語彙(ボキャブラリー)もそうですが、会話には瞬発力が必要です。
「英語が話せる人はやっている 魔法のイングリッシュルーティン」の著者のミラクル・ベル・マジックさんは、
英会話は「歴史」のように勉強や暗記が重要になる科目というよりは、運動することで身体を鍛える「体育」的な科目
と著作の中でおっしゃっています。
筆記試験でいい点数を取るためという観点では、なかなかスピーキング力は上がりません。
文部科学省が作成している教育指導要領には、語彙については、聞いたり読んだりして理解できる受容語彙(パッシブ語彙)と話したり書いたりできる発信語彙(アクティブ語彙)の2種類の語彙力があることが記載されています。
これは文法にも言えると思います。
発信文法力(アクティブ文法力)のようなスキル、口頭で使いこなせる文法力を練習する必要があるということです。
このスキルの磨き方には、「文法事項別の瞬間英作文」や「英語のハノン」といったやり方がありますが、なんにせよ、コミュニケーションをとるための英語学習というのは、座学的なものでは対応できない、ということに気づけるかどうかがポイントです。
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